~障害者雇用について理解と確認を~
近年、企業における障害者雇用のあり方は変化しています。障害者を積極的に雇用することは、法令遵守の側面だけではなく、持続可能な経営と社会貢献を両立する重要な取り組みです。
来年(令和8年)7月1日からは法定雇用率が引き上げられることが決定しています。雇用義務の対象となる企業の範囲も拡大されるため、制度理解や体制整備が求められています。
法令を確認しましょう!
企業が行うべき5つの措置
「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)では、企業に5つの措置を義務付けています。現在の民間企業の場合の法定雇用率は2.5%でありますので、労働者数40名以上の企業は、1名以上の障害者を雇用する義務があることになります。
但し、令和8年7月1日からは2.7%になりますので、労働者数37.5名以上の企業は1名以上の障害者を雇用する義務があることになります。
※労働者数は短時間労働者を0.5人とカウントするなどの決まりがありますので、0.5人単位となります。
| 企業が行うべき措置 | 内容 |
| 法定雇用率以上の障害者雇用 | 一定の割合(法定雇用率)以上の障害者雇用
※令和6年4月1日より2.5% (民間企業の場合) 令和8年7月1日以降は2.7% (民間企業の場合) |
| 障害者に対する差別の禁止と 合理的配慮の提供 | ・障害の有無に関わらず平等な募集・採用の機会を提供する
・障害を理由に賃金や教育訓練の機会、福利厚生などの待遇について差別的な扱いをしない ・社会的な障壁をなくすために個別の対応や支援を行う |
| 障害者職業生活相談員の選任 | ・5人以上の障害者を雇用する場合は、「障害者職業生活相談員」を選任し、職業生活に関する支援を行う |
| 障害者雇用状況の報告 | ・毎年6月1日時点での障害者雇用状況をハローワークに報告する |
| 解雇時に「解雇届」の提出 | 障害者を解雇する場合、全ての事業主は、その旨を速やかに「解雇届」をハローワークに届け出る |
さらに、対象の事業主には、障害者の雇用の促進と継続を図るために、「障害者雇用推進者」を選任することが努力義務となっています。
障害者雇用を促進するメリット
「障害者と働くのは難しい」と考えてしまい、障害者雇用になかなか一歩を踏み出せない企業もあるかもしれません。企業にとって、障害者雇用がもたらすメリットを考えましょう。
●人材(労働力・戦力)の確保、新しい視点・発想の獲得
- 障害者の就労・活躍への理解が深まり、職場の一体感やモチベーションが向上する
- 業務プロセスやフローの見直しの契機となり、業務効率化につながる
- 社会的責任の遂行によるイメージアップ
- DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の取組が推進され、職場全体が働きやすい職場になる
キーワード DEIとは?
DEIとは、「Diversity(ダイバーシティ 多様性)」「Equity(エクイティ 公平性)」「Inclusion(インクルージョン 包括性)」の頭文字をとったもの。企業経営において、多様性や公平性を尊重し、誰もが受け入れられる包括的な組織や社会を実現しようとする取組のこと。
障害者を雇い入れた場合の支援制度なども厚生労働省では準備しておりますので、詳しい内容は、厚生労働省パンフレットをご確認ください。
※厚生労働省パンフレット「障害者雇用のご案内~共に働くを当たり前に~」https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/content/contents/002260666.pdf